書評 - プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術

書評を上手に効率よく書くための「型」を身につけたくて手にとった。

プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術

プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術

筆者は2012年8月から「ライフハッカー」で書評コーナーを担当しており月曜日から金曜日までの毎日、月に20本もの書評を書いている。年間250冊以上の書評を書いている計算になり少なくとも週に5冊(実際には1日1冊以上のペースで読んでいるらしい)以上インプットする必要がある。2016年12月にサイトを覗いてみると引き続き同じペースで書かれているようなので今まで1000冊以上の書評を書いていることになる、すごい。

このような高負荷なインプットとアウトプットをこなせている筆者のテクニックは、趣味として書評をもう少し書きたいと思っている自分にとっても価値があるように感じた。

インプットの「型」

読書を、情報摂取モードと読書体験モードに切り替えているんですよ。

書籍の中でなんども言及されていたのが「たくさん読みたければ、何かを諦める必要がある」ということ。たくさん読んでいる人は全てを精読しているわけではなくいくつかの本は流し読みして情報摂取に勤め、本当に読みたい本は丁寧に読むということだった。これは本を読むのが好きで流し読みするのがなんとなく冒涜のように感じてしまう自分にとっては結構衝撃的だった(今でも少し抵抗感はある)。

さておき、本を読んでいてページ数を増やすために追加された章だなと感じることはたしかにあるので、本当に必要なことを効率よく取り出すために流し読みする勇気が自分には必要なのかもしれないと思った。本文にあった一節が胸に刺さる。

「義務的な精読」は、効率的なように見えてとても非効率的

思い返すとちゃんと読まないといけないと思って買うのを諦めた本、読み切れないからという理由で積読した本がたくさんあることに気がつく。それなら購入して本当に必要な1章だけを読んだ方がよかったのかもしれない。

技術書の場合は隅から隅まで役に立つということはまれで1/4くらいのことはなんとなく知っていて、半分くらいは自分にとって今は必要ないこともしくは難しくてわからないことで、本当に役に立つのは残りの1/4くらいということが結構ある。

例えばDockerの本が売っていて全部読む気はないけど、今知らなくてすごく知りたいトピックが目次に載っていたら購入して読んでそれで終わり!みたいなやり方をしてもいいのかもしれないなぁ。

アウトプットの「型」

筆者の書評のテンプレートが紹介されていてよかった。

署名、著者名、出版社名、内容説明
↓
引用
↓
解説
↓
引用
↓
解説
↓
まとめ

最初に書籍の概要を書いてから引用を使いながら面白かったところを紹介していく。あらかじめ本を読みながら引用したい文章があったら線を引いたりドッグイヤーをしていくとよい。読み終わったら引用したい箇所を集めたり書きたいことの断片を書き出しておく。

実際に本を読んで書評に落とし込むまでの流れ。必要事項をあらかじめ入力する、一気に書ききる、修正は全て推敲で行う、などが参考になった。

  1. 読書 精読の場合は1-3日、斜め読みの場合は30分。
  2. 必要事項の入力 小見出しと引用の入力
  3. 執筆 大切なのは一気に書ききること、細かい部分は推敲でまとめて直す
  4. 推敲 いちばん重要なのがここ。ここに至るまでに少しでも時間を短縮するのがポイント

まとめ

筆者はライフハッカーの読者が本に対して感じていることを以下のように分析している。

「できれば、時間をかけて読み込みたい」

「そして、そのなかから自分に必要な情報を効率的に抽出したい」

「でも現実的に、それはとても困難なこと」

というジレンマのなかにいる

的確で素晴らしい分析だと感じた。引用を多用するスタイルは中身を短時間で知りたいという読者の気持ちに答えるために生まれたもののようだ。私が書く書評もこのように読者の問題を解決するものでありたい。